高知中央高校ラグビー部 SAMGUYS 部長の西川です!
昨夜は日付が替わって、午前2時過ぎにトンガの空港に到着。
預けた荷物が出てくるのが一番遅く、到着ゲートをくぐるのも全体の一番最後の方でしたが、今年も留学生のシオネ・シメ・マウくん(写真左側)、ファカタハ・カウホケ・ハビリくん(写真右側、マナセの弟)がそれぞれのご家族と一緒に出迎えに来てくれていました。
歓迎の首飾りをかけてもらい、記念写真を撮るだけの簡素なものでしたが、遥々30時間近くかけて日本から来た我々を歓迎してくださる気持ちがすごく伝わる気持ちの良いものでした。
中でも特に、今年も各種コーディネートをしてくださっているトーエツさんのご家族も空港に来てくださっていたのですが、彼らと『 I am happy to see you again!』と言い交わしながらハグした時には、思いつきの単発ではなく トンガからの留学生受け入れを大切にして、今年もトンガまで迎えにこれたことを本当に嬉しく思い、留学生受け入れを認めてくださり支えてくださっている理事長・校長をはじめとする高知中央高校や高知県ラグビー界の皆様に対する感謝の念が改めて沸き起こってくるのを感じました。
そんなこんなをしていてホテルに到着したのが3時過ぎ、荷物整理をしてシャワーを浴びて寝たのが4時過ぎ…。
普段であればセットしたアラームが鳴る5分前には自然と起きる僕には珍しく、8時にかけたアラームが鳴ってから起きるまで、4時間弱でしたがぐっすり眠ることができました。若い頃から遠征などで旅慣れていることがこういう時には役立ちます。
9時にはトンガの首都ヌクアロファの中心部にあるカフェにて、先日ラグビートンガ代表チームのトレーナーとして来日、高知にも来られて交流を持たせていただいたセミシ・フォヌアさん(下記リンク 参照)と再会。
2019 ラグビーW杯 日本大会時に高知で事前キャンプを張るトンガ代表チームとの受け入れに関することや、W杯後にまで目を向けたトンガと高知の交流について。またそうした大きな流れの中で高知中央高校の果たせる役割と果たすべき使命、今後の留学生受け入れの在り方等についてじっくりと意見交換。トンガ代表の活動で今日フィジーに旅立つから 10時までという約束で時間を作ってくださったのに、ふと気づくと 45分もオーバーして熱く語り合っていました。
セミシさんと別れた後、両替のために銀行に向かうところで 北原 卓也さんという日本人と合流。
彼は、早稲田大学 大学院文学研究科 文化人類学コースというところで主にトンガの文化を研究する博士後期課程所属の研究者。
最初は教授からの依頼でトンガにリサーチに来たことがきっかけだったそうですが、それからどっぷりとはまってトーエツさんらトンガからのラグビー選手たちとも交流を深め、トンガ国内でもネットワークを広めています。
今日も1日我々に同行してくださり、我々の留学生受け入れの取り組みについて記事にしたいという新聞社の雇われ記者として取材もしてくれました(偶然にも今日 ニュージーランドの首相がトンガを訪問するとかで各種セレモニーがあり、各新聞社も人手不足…)。
日本人である彼が、難しいトンガ語をしっかり操っていることにまず驚き、先ほどセミシさんと交わした意見交換の内容等についてトンガをよく知る日本人の立場で補足の意見やアドバイスをくれたことがとても心強く感じました。
昼からはツポウカレッジへ。
昨年と同様、校長先生のお招きで2人の留学生とその家族や学校関係者が集まっての初顔合わせの場(前夜に空港で会ってますが…)。
しかし昨年と大きく違うのは、その場にテレビ取材のカメラが入っていたこと。
それというのも実は、今回受け入れる留学生2人の内、マナセの弟であるファカタハはツポウカレッジの生徒ではありません。ツポウカレッジとは長年のライバル関係にあるトンガカレッジの生徒(写真 1枚目、2人の制服が違うことに注目)。
昨年のツポウ & マナセは2人ともツポウカレッジからの留学生でした。
しかし、そのことに高知で事前キャンプを張るトンガ代表チームやトンガラグビー協会、高知県の政治的な特殊事情が被さってきて、色々と紆余曲折がありました。その結果、今年は『ツポウカレッジ、トンガカレッジの双方から一人ずつの留学生』という形に落ち着きました。
実はトーエツさんと我々が仕掛けたこの話は、これまでのトンガのラグビー界にあっては到底考えられない画期的なこと。
これまでトンガのラグビー界をリードしてきた二大巨頭であるツポウカレッジとトンガカレッジは、特に日本へのラグビー留学に関する実利も孕みつつ対立構造にありました。
その余波で、他のトンガの中学・高校にも能力の高い選手はたくさんいるのにそうした選手たちにはチャンスすら巡ってこない状況がありました。
そうした構造を変えたいと常々願っていたトーエツさんの熱い想いをツポウカレッジの校長先生(トーエツさんの恩師)が認めてくださり、トンガカレッジの校長先生とも話し合いをしてまとめてくださったのです。
今日ツポウカレッジで開かれた歓迎と送別の昼食会に、ツポウカレッジの校長先生(下写真 左側)とトンガカレッジの校長先生(下写真 右側)が揃い踏み。
これだけでも、これからのトンガラグビーの新しい可能性を示す第1歩と言えるぐらい大きなことで、昨年はいなかったテレビ1社、新聞2社のマスコミがニュージーランド首相来訪の大ニュースそっちのけで駆けつけたのでした。
TVカメラもまわる緊張の中で、二人の留学生の未来のみならず、そうしたトンガラグビー界にとって歴史的な取り組みの一翼を担っていることに大きな責任と期待、喜びを感じているといった内容で挨拶をさせてもらいました。
改めて身が引き締まるのを感じた瞬間でもありました。
高知から持参した様々なお土産や、渡航時に着る中央高校の体操服などを渡して記念撮影タイム。
それが終わっていよいよ昼食会に突入。
今年も最高のご馳走である “豚の丸焼き” を筆頭に、たくさんのご馳走全てを堪能しました。
昨年も驚きましたが、主賓である我々と、目上の方である校長先生らのみが最初にテーブルについて食事。その間 生徒やその家族、ラグビー部スタッフの先生方はひたすら給司に徹してくれるのです。そうした教育がしっかり為されていることに感動しました。
僕がカニを上手に割ってきれいに食べ尽くしたことには、わざわざ校長先生がスピーチの中で笑い話として取り上げるほどトンガの人も驚いていました。
昼食会終了後、こちらからの『ご家族の方に、普段の生活の様子やこれまでの育てられ方をお聞きしたい』というリクエストを受けて、それぞれの自宅を訪問。校長先生たちはいないリラックスした中で、色々と話を聞くことができました。
昨年のマナセに続いて2年連続のハビリ家訪問は、マナセに顔がそっくりな他の弟たちも含めてすでに慣れたもの。
『マナセの方が身体は大きくフィジカルは強いが、ファカタハの方が断然脚が速く、賢さも上』という、マナセが聞いたらむきになって否定しそうな情報もゲット。
トンガでは長男の言うことは絶対だそうで、これまでもケンカはしたとしても最後はきちんとマナセの言うことはファカタハが聞く仲の良い兄弟ということなので楽しみです。
マウ家の方はやはり初めてということで、色々な話を聞いてきました。
シオネが赤ちゃんの頃の写真も見せてくれながら昔話をしてくれるお母さんは、最初から最後まで笑顔ではありましたが、ずっとハンカチで目元の涙をぬぐっておられました…。
ここでもまた別の形で、遠く母国を離れる彼ら留学生をお預かりする責任の重さを改めて感じました。
最終日の明日は、もう一方のトンガカレッジを訪問するとともに、まだ確定時間の返事待ちですがトンガ政府にもご挨拶に伺う予定にしています。
残り1日、トンガの食事や文化を満喫しつつ、トンガと高知の架け橋としての役割も果たしてきたいと思います!